大晦日の夜

晦日の23時ごろ、お風呂に入った。しかもただのお風呂ではない。貰った柚子を二個湯船に浮かべたのだ。風呂を掃除をした後、お湯を張るときに入れておいた。大晦日は歩いて疲れていたので、ゆっくりと一息つく場所が欲しかった。「今年の風呂も最後か」とか、ちょっと感慨深い感じが何故かした。お風呂が沸いたので蛇口を止め、外に干しっぱにしたバスタオルを取りに行き、厚着をした服を脱ぐ。寒いので速攻で風呂場に入った。

湯船につかり柚子を見てみる。ぼこぼこしている。何も考えず右手に持ち、鼻先と上唇に柚子をあてがう。鼻からにおいを嗅いでみるとほのかに鼻腔の奥まですっと柚子の香りが抜けていく。右手を高く上げる。伸ばし切った後に手の筋肉をゆるませ柚子を自由落下させる。柚子と地球が万有引力で引かれ合ってるなぁとか頭悪くして思いながら落とす。ゆっくりと落ちていく。水面に落ちると、「どぽん」と音がする。水面に落ちた時の衝撃波が落ちた点から球状に広がっていき、自分の体に伝わる。少し水面よりも下に柚子が潜り「ぷかっ」と浮く。無心でこの動作を何回かする。

また、右手に持って香りを嗅ごうとする。少し柚子が柔らかくなってる。再び鼻先と上唇にあてがうと少し香りが強くなっていた。

今度は柚子を沈めてみる。水底(風呂底か?)まで柚子を掴んだまま沈ませ、そっと放す。少し不規則な軌跡を描きながら浮かんでくる。ちょっと楽しい。

そうして40分くらいお風呂に入っていた。