【感想】みつみはすごい『スキップとローファー 1,2話』

「たかが入学式でしょ...?」「それはあなたにとってはでしょ?」

これはしま君と主人公であるみつみのセリフである.一話の冒頭で二人は入学式に遅刻しており,一緒に高校に向かっている電車内の会話だ.一話の冒頭でこのセリフから読みとれる通り "価値観" が結構意識されているかなと一話と二話をみて思った.

みつみは高校進学にあたって石川県の(電車は10年前に廃線した)田舎から東京の進学校に入学したという状況だ.これを考慮すると当たり前ではあるがそんな学校のクラスメイトである人やその環境で周りにいる人は都会で育った人が多く, "価値観" が違うだろう.その差が必然的に作品にも大きく扱われているような気がする.

そう考えるのは多少なりとも自分が大学生になった時に地元から東京に出てきたという経験も重ね合わせているのかもしれない.

アニメの二話でもその価値観を論ずるようなセリフが見られる.みつみがどの部活に入ろうか悩んでいる時にしま君に「選択にすごく迷ったときどうする?」と聞いたのだが,しま君が言ったセリフが「うーん.迷うようなことは結局大したことじゃなかったんだって思うようにしているよ.譲れないほど大事なものってそんなにたくさんないでしょ」であった.このあとみつみは冒頭に書いた入学式に向かう電車のことを思い出していた.そのあとしま君のことをやさしくてふわふわしているけど,寂しそうなひとのように感じたと言っていた(決してマイナスなイメージは大きくない).ここのシーンはしま君の価値観を見て取れる.面白いのはみつみの質問に直接答えていない点である.ある意味回答としてはずるい答えだし,さらっと流されている*1.ずるいけれども,こういう意見いえるの凄いなと私は思う.これは想像だが,「選択に迷ったときどうする」というみつみの質問は「選択に迷ったときどのような判断基準や方法でどの選択肢を選ぶ?」というものだろう.つまりは用意されている選択肢の中でどれを選ぶのが最も良いかを聞いている.しかし,しま君の答えは違う.迷うような選択肢は大したことないと言ってるのだ.部活をどこに入るか悩んでいたみつみはこの言葉を受けて,部活に入るのをやめ生徒会に入る選択を自ら考えて選んだ.元々ない(部活以外の)選択肢を見つけて選んだのだ.これはとてもすごいことだと思う.もともとみつみは官僚になるという夢があってその一歩として生徒会に入ろうと動いたという関係性はあるが,自らの未来について考えて行動しており,かつその前まで感がていなかった選択肢を見つけて選んでいて凄いなと思ったのだ.一般化してしまうが,無い選択肢を自分で見つけ出すという心構えは大事だなと私は感じた.こういった刺激を与えてくれるのも友人のいいとこなんだなと思った.

人間関係

価値観で冒頭の文を書き始めたが,スキップとローファーの主題の一つには人間関係もある.この描写についてはめちゃくちゃ共感するものがおおい*2.大勢でのカラオケのシーンとか見るだけで私はぞわぞわする*3.その中でみつみは帰りたいと思いつつも,変な分析せずに前向きに関わろうと動いていた.この点について我々はみつみのこの姿勢を見習わなくてはならない.人の心は分からないのだ.だったら関わる前から変に偏見持たずに前向きに関わろうとすることが結果的に良いのだなぁと感じた.「人の心ってわかりません.だから少しずつ...」そう.少しずつなのだ.

ED

OPも素晴らしいが,EDも素晴らしい.今回はEDの映像だけに注目してみる.ここで使われているのは手回しオルガンらしい.これがモチーフに使われているのがとても暖かい.手回し楽譜の上を虹色に色づいたスタンプのように足跡をつけてみつみが歩き,オルガンからでてきたその楽譜が蛇腹に折りたたまれていく.その足跡の軌跡はまっすぐではなく違った方向にも向いている.みつみの(もしくは人の)人生を表しているんだなぁって考えたら少し心が暖まってきませんか?歩いた道は自分の固有の音色って.

調べたら手回しオルガンというのはこういうものらしい.めちゃいいね.アナログなものというのは今の時代際立つ.

原作も読みたいね. また,気が向いたら続きの話の感想書きます.

*1:こういうところがみつみがこの時に抱いている印象につながるんだなぁと思った

*2:自分で見てね

*3:そもそも私はこの人生でカラオケに2回ぐらいしか行ったことない